エンジニアによるファイナンス訓練 (投資理論編)
最近はビジネスの勉強ということで、ファイナンスの学習をしている。
今までマーケティング、起業、簿記ときて今度はファイナンス。これがなかなかの強者だが、本書によると全部理解すればMBA並みの知識が得られるということで張り切ってやっている。
今日はその中の投資理論の概要をまとめてみた。
投資理論
現在価値と将来価値
Q) 5年後に100万円確実にもらえるクジがあるけど、今いくらで買う?
はっきり言えるのは、今のお金の方が将来のお金より価値がある。それを使えるから。(現在価値と将来価値)
A) 他の債券や株式と比較し、いくらなら買うかを決める。
国債の金利が3%だとする。すると、毎年3%の利子がつくので、
X * ((100 + 3) / 100)^5 = 100万
になるような X が5年後に100万円になるような現在の価値となる。結果は86.3万円。
これより高値で買うくらいなら、国債に金を払った方がお得。それより安ければ、買うことも検討しよう。
ちなみに 比較対象とした国債の 3% のような%をディスカウントレートと呼ぶ。
Q) 毎年100万円を5年間貰い続けられる年金の現在価値は?
その年毎の現在価値を計算しよう。ここでのディスカウントレートを3%とする。
1年目 2年目 3年目 4年目 5年目 97.1 94.3 91.5 88.8 86.3 (万円)
A) それらを足し合わせると、458.0 万円。 458万円の価値がある。
ちなみに EXCEL を使えば、 NPV関数ってのを使えば一瞬で458万を出せるので調べてみると良いかも
Q)ディスカウントレートをどうやって決める?
A) そのキャッシュフローのリスクの程度と期間に照らしてみて妥当な金利を選ぶ。家を買うリスクと銀行預金のリスクではディスカウントレートが大きく異なる。
正味現在価値
Q) 前述の年金プロジェクトがあったとする。(5年間毎年100万円のキャッシュフローを生むプロジェクト)これを400万円で実施すべきか、すべきでないか。
A) 現在価値が458万円。 458万円 - 400万円 = + 58万円 なので GO!
この58万円を正味現在価値と呼ぶ。
※他に色々な投資判断の方法があるが、最も大事なのはこの考え方!
収益性インデックス
文字通りの指標。
= (キャッシュインフローの現在価値) / (キャッシュアウトフローの現在価値)
これが1以上なら GO!
内部収益率
その他で実は一番良く使われる判断指標が「内部収益率」
正味現在価値がゼロとなるディスカウントレートのこと。ディスカウントレートを予め決める必要がないので人気っぽい。基本的に逆算すれば算出できるが、これも EXCEL の IRR 関数で一発で求められる。
ただ、内部収益率には決定的な欠点があって、プロジェクトの規模を無視しているという点がある。 企業は資本(企業価値)を最大限増やすことを目的にすべきで、収益率は高いが収益自体が低いプロジェクトを選ぶべきではない。
資本制約がある場合
基本的には正味現在価値で投資判断をするが、使えるお金は限られている。 その時は、「収益性インデックスが大きい順に予算に達するまでプロジェクトを選択」する。
予算:5000万円 プロジェクト 投資金額 正味現在価値 収益性インデックス A 5000 1000 1.20 B 1000 400 1.40 C 500 250 1.50 D 1500 500 1.33 E 3000 700 1.23
正味現在価値だけを見れば、Aを選択するが、予算が限られている。
この場合は、 C -> B -> D の順番でやる。
キャッシュフロー予測の注意点
ビジネスの1年目、2年目、3年目。。。と明確にキャッシュフローの見積もりができた場合のみ、正しい投資判断ができる。ただ、これが一番難しい。キャッシュフローが予測と違うものとなる可能性のあるもの:
埋没コスト
プロジェクトで既に支払ったコスト。今までこれだけ払ってきたプロジェクトを今後どうするか、ってときに厄介者となる。これは今後の投資判断には影響を与えないので、無視しなければならない。つまり、「これだけやってきて今更やめるわけにはいかない!」というだけの理由で続けるのはアウト。
機会コスト
あるプロジェクトを選択したときに失う既存のキャッシュフロー。今までのビジネスで今後1年、2年でそれなりの収益を上げられるプロジェクトがあるとき、それを違うプロジェクトにすると、そのキャッシュフローは機会コストとしてマイナスにしないといけない。
シナジー効果
あるプロジェクトはNPVがマイナスでやるべきではない、となっても、それに加えて他のプロジェクトをやればキャッシュフローが上がってくること。
カニバリゼーション
自社の新製品を出すプロジェクトを世に出すことで、既存の自社製品のキャッシュフローが減少すること。
ワーキングキャピタル(資本)
売上債券、売掛金や在庫が増加する程、それを支えるためにワーキングキャピタルを増やさざるを得ない。キャッシュフロー予測時には考慮。
まとめ
何かを投資判断するときには、できるだけ正確な将来のキャッシュフローを予測し、それと同等のリスクを持つ債券等の金利と比較し、正味現在価値を求める。
その判断で正しい意思決定を下せれば、戦略的にビジネスができるようになるかもね。ってお話。