サービス開発の成功を左右する 3つの Why
ども、@kimihom です。
新しい Web サービスのアイディアを考える上で、有名な 3つの Why が存在する。
- Why this?
- Why now?
- Why you?
どれか一つを満たせばいいのではなく、この3つ全てを満たさないと、サービス開発は成功しない。今回は自分の経験や考えを踏まえて、それぞれ説明してみる。
Why this?
- なぜ、あなたはそのサービスを作るのか?
- 現時点で、同じ課題を抱えている人は、どのように解決しているのか?
- 今の解決方法の何に不満を抱えているのか?
- 課題を抱えている人は、新しいサービスが出たら今のサービスを解約する決断をするくらい、大きな課題なのか?
思いついたほとんどのアイディアは、「あったらいいね」程度のもので終わる。それらのアイディアの評価を友人に聞いても、同じように「あったら便利かもね」といった感想をもらうことになる。しかし、実際にサービスをローンチしても、「なきゃ困る」レベルのサービスではないので、サービスローンチ後、Twitter に "いいね" がそれなりについて終わる運命を迎える。
そうではなく、何かの対象と比較して、そのデメリットを完全に解決するサービスってのは、使う側からしてもわかりやすい。
例えば、最近だと "mmhmm" がそれに値する。今までのビデオ配信における課題を完璧に解決するサービスとして、熱狂的なファンを掴み取ることができている。別に全員が「なきゃ困る」レベルである必要はない。mmhmm で言えば、ビデオ配信をしょっちゅうする人が 「mmhmm はヤバイ」と熱狂的なファンになれれば、それだけでいいのだ。別の言い方をすれば、ターゲットを絞って、そのターゲットに対して完璧に課題を解決できるサービスかっていうことになる。
Why now?
どんなに良いアイディアのサービスであっても、タイミングはとても大事なものだ。
例えば今、どれだけ便利な出社前提のオフィス向けサービスを作っても、使われることはほとんどないと簡単に想像できる。そうした明確な理由がなくても、 Why now? のない、ただ単に作ってみた程度のサービスは高い確率で失敗する。Why now? のないサービスは、同じようなサービスを今まで作ったことのある人が必ずいるはずで、そのアイディアで成功したサービスがないてことは、そのサービスも成功しないのだ。
だからこそ、明確な Why now? が答えられる必要がある。オンラインビデオ通話 がこれだけ流行ったのも、Why now? に対して "在宅で会話する" という 回答を用意できたからだ。
エンジニアからすれば、この Why now? に対して、"最新テクノロジーの登場" っていう部分で回答できるところはある。しかし、当然それはユーザーに対しての回答ではないので、不十分である (が、可能性はあると私もエンジニアだからフォローしておく)。
Why you?
そのサービスが、他の人ではなく、なぜあなたが作るのか。その価値に対して自信を持って説明できる必要がある。
例えば Why you? を明確に説明するために、創業者の深刻な体験を報告するってのはよく使われている手法である。とりわけ命に関わる体験をして、絶対に自分で達成させるという目標を持つというエピソードをよく聞く。
Why you? がなぜ大事なのかというと、自分がそのビジネスを続けられるかどうかという部分に関わってくるからだ。Why you? のないサービスは、初期フェーズでユーザーが全然こない状態を耐え切ることができず、サービスを閉じたりユーザーの来ないまま放置するという決断を迎えることになる。
この Why you? に対する一番シンプルな回答は、「自分があったら必ず使うから」というもので、実は強力なものである。ただ、この「必ず使う」というものにサービス以外の条件(例えば出会い系アプリで女性が必要) だと、その条件に引っかかってうまくいかないケースが多い。
Why you? が明確にないと、そのサービスを長く熱中して改善していくことができない。熱中して改善されないサービスが今後どうなるかってのは簡単に想像できる。
終わりに
サービス開発を始めようって時に、いろいろなアイディアが思いつくけど、この 3 つの Why? を明確に答えられるアイディアってのはなかなか出てこない。
でも、もしこの 3つの Why? を明確に答えられるアイディアが出てきた時には、サービス開発を始めてみる絶好のチャンスである。そのサービス運営をずっと続けられることができ、ユーザーがつく可能性も高いのである。
そもそも、サービス開発のアイディアを考えないことには、この便利すぎる世の中で、アイディア自体思いつかない。毎日の生活の中で、3つの Why を満たすサービスアイディアを考えてみる習慣が必要であろう。
そのアイディアを考え続け、そして実際に行動した人だけが、最後の成功を掴み取ることができる。
私もサービス開発を成功させるために、これからも考え続けよう。さて、あなたはどうするか。
- 作者:サイモン・シネック
- 発売日: 2012/01/25
- メディア: 単行本